
日本では毎年、十数万頭の猫が殺処分されています。しかし、それを上回る数の猫たちが、道路で命を落としているのをご存じでしょうか。TNR活動は、そうした“見えない命の損失”を防ぐための、地域に根ざした取り組みです。この記事では、私がTNRを続ける理由と、その背景にある現実をお伝えします。
TNR 活動の必要性を知ってもらいたい
毎年、たくさんの猫がこの国で命を落としています。
ニュースで目にする「殺処分」も痛ましい現実ですが、私が現場で目にして一番胸を痛めたのは、道路で命を失ってしまう猫たちの姿でした。
殺処分よりも多いロードキルの現実
ある日、私は路肩で横たわる小さな体を抱えて家に帰りました。
あの子のことが、TNR(捕獲・不妊・リターン)を続ける最初の理由です。
道路で命を落とす猫の数は、殺処分数を大きく上回っている
2019年時点で、推定約 28万9千頭の猫が野外で命を落としており、同年の殺処分数の約10倍にあたります
参考 人と動物の共存センター
直近の調査では、道路で亡くなる猫の数は殺処分数の20倍以上という報告もあり、私たちが目を向けるべき“見えない死”の実態があります
参考 人と動物の共存センター
注意点・補足まとめ
ロードキル(交通事故死)と殺処分の比較は、多くの調査機関によって報告されていますが、いくつかの注意が必要です。まず、「ロードキルで亡くなる猫の数」は、自治体などが道路上で回収した遺体数から推計されたものです。そのため、実際に回収されなかった個体は含まれず、実際の数はこれよりも多い可能性があります。一方で、「殺処分数」は、行政が引き取った猫のうち、処分された数を指しています。もともと行政に持ち込まれていない猫たちはこの統計に含まれません。つまり、両者は計測方法が異なるため、単純な比較では完全に一致しない点に注意が必要です。
それでも、多くの調査では、ロードキルで命を落とす猫が殺処分の10倍から20倍近くにのぼるという結果が出ています。この数字は、「保護やTNRの対象になれなかった猫たちが、日々どれほどの危険の中で生きているか」を示す大切な指標です。
道路で命を失ってしまう猫
なぜTNRなのか?保護だけでは足りない現実
すべての猫を家に入れて保護できれば理想的ですが、現実には限界があります。
保護施設には収容数の制約があり、また地域の猫すべてを受け入れる体制を作るのは容易ではありません。
TNRとは?
TNRは「捕獲(Trap)・不妊手術(Neuter/Spay)・元の場所に戻す(Return)」という手法で、無責任な繁殖を防ぎ、地域の猫の数を増やさないことを目的とします。
結果的に、衰弱して路上をさまよう子猫や、道路に出て事故にあう個体を減らすことにつながります。
私がTNRを選んだのは、「その場でできる、命を増やさないための現実的な手段」だからです。
保護猫施設の現状と課題
TNR活動と並んで、保護猫施設(シェルター)も地域の猫問題を支える大切な存在です。
行き場のない猫、事故や虐待などから救出された猫、または高齢の飼い主から引き取られた猫など、多くの猫たちが一時的または長期的に保護されています。
保護猫施設の現状
- 日本全国で、行政による公的シェルターはごくわずかです。実際の多くは、個人ボランティアや小規模団体が自費や寄付で運営しています。
- 猫の数に対して施設は慢性的に不足しており、常に満室状態のケースも少なくありません。
- 医療費・飼育費・人手の負担が大きく、運営は寄付やクラウドファンディングに頼ることが多いです。
保護猫施設の課題
- キャパシティ問題
保護できる頭数に限りがあるため、すべての保護希望に応えることは困難です。 - 医療・衛生管理
感染症対策や不妊手術などの医療コストが大きく、資金面の課題がつきまといます。 - 譲渡の難しさ
里親希望者がいても、年齢・性格・持病などの理由で譲渡が進まないケースもあります。 - ボランティアの高齢化・人手不足
運営を支える人が限られており、長期的な継続体制が課題になっています。
TNRと保護で小さな命を守る
TNRは増やさないための活動。
保護施設は救うための場所。
どちらも、目の前の命に手を差し伸べるという点では同じ方向を向いています。
私が活動を続ける理由も、このどちらも必要な現実を知ったからです。
人が作り出した問題 なぜ野良猫・外猫が増えるのか?
野良猫が多いのは「自然に増えてしまった」からではありません。
ほとんどのケースで、人の生活の中から生まれた問題が関係しています。
つまり、野良猫の増加は「人が作り出した社会問題」でもあるのです。
飼い猫の「外飼い」や「放し飼い」
本来、飼い猫は家の中で安全に暮らす動物です。
しかし、日本ではいまでも外で自由に過ごす外飼いをする家庭があります。
外に出た猫は他の猫と交配し、意図せず子猫を増やしてしまうことがあります。
また、帰ってこなくなった猫や、引っ越しの際に置き去りにされた猫が、
そのまま繁殖して地域猫の元になるケースも少なくありません。
飼い主のいない猫への「無責任な餌やり」
「かわいそうだから」という気持ちで餌をあげる人は少なくありません。
けれど、不妊去勢をせずに餌を与えるだけでは、結果的に猫が集まり、繁殖を繰り返してしまいます。
餌をあげること自体が悪いのではなく、TNRとセットで行うことが大切です。
そうすることで、地域の猫を管理しながら、「増やさない優しさ」を実現できます。
捨て猫・飼育放棄の問題
残念ながら、今でも猫を「捨てる」人がいます。理由の多くは「引っ越し、経済的理由、鳴き声・マーキングなどのトラブル、子猫が産まれてしまった」といった人の都合によるものです。
こうした猫たちは外で生きるしかなく、その子孫が次の世代の野良猫になります。
結果として、“人が手放した命”が、外で増えていくという負の連鎖が生まれるのです。
地域での管理が追いついていない
一部の地域では、行政やボランティアが協力して「地域猫活動」を進めています。
しかし、まだまだ十分に整っていない自治体が多く、「どこに相談すればいいか分からない」という声も少なくありません。
TNR活動は、そうした地域の隙間を埋めるように、民間レベルで“いま目の前の猫”を守る取り組みとして広がっています。
人の身勝手な行動は人が責任をとる
野良猫・外猫が増える原因のほとんどは、人の行動にあります。
「外に出す」「手術をしない」「捨ててしまう」その積み重ねが、地域の猫たちの過酷な現実を生んでいます。
だからこそ、人の手で止めることができる問題でもあるのです。
TNRは、その第一歩です。
キャットレスキュー 小さな命と、私たちにできること
野良猫や外で暮らす猫が増える背景には、「外飼い」「捨て猫」「不妊去勢の不足」など、人の行動が深く関わっています。
そして、殺処分だけでなく、交通事故(ロードキル)によって命を落とす猫が、その何倍もいるという現実があります。
こうした“見えない死”を減らすために、今、私たち一人ひとりにできることがあります。
それが TNR活動(Trap・Neuter・Return) です。
TNRは、すぐに大きな変化を生む活動ではありません。
けれど、確実に「これ以上不幸な命を増やさない」ための力になります。
手術を終えた猫が穏やかに暮らし、地域の人も安心して共生できる。
そんな小さな変化の積み重ねが、やがて大きな“優しさの循環”を生み出します。
TNRは特別な人だけができることではありません。
見かけた猫に関心を持つ。
地域のボランティアを知る。
寄付や情報発信で応援する。
その一歩一歩が、命を守る力になります。
「TNR活動は必要?」という問いの答えは
「はい、必要です」
なぜなら、それは“命の数を減らす”ためではなく
命の尊厳を守るための活動だからです。
キャットレスキュー 動画でも現場の様子を公開しています!
私たちの活動をより多くの方に知ってもらうことも、猫たちを救う大切な力になります。TikTokでのフォロー・いいね・シェア(拡散)は、活動の励みとなり、支援の輪を広げる大きな助けになります。

